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卒業論文をすべてWEBページにまとめてみた 3

英語の発話速度についての先行研究をまとめてみました。

 

3.3.1. 英語の発話速度について 

 発話速度を測る際、一般的にwords per minute(wpm)という尺度が用いられる。大木・前田・岡 (2016)は、典型的な発話速度について、Tauroza and Allison(1990)の調査をもとに平均的な英語の発話速度を170 wpmとし、次のように述べている。

 では典型的な発話速度とはどれくらいだろうか。Tauroza and Allison(1990)は様々なテクストの種類を対象に、イギリス英語話者の平均的な発話速度を調べた。その結果が次の表である。

 表3-10.イギリス英語の平均的な発話速度(Tauroza & Allison, 1990)

 

テクストの種類

語/分(wpm)

音節/分(spm)

音節/秒(sps)

音節/語

ラジオのモノローグ

160

250

4.17

1.6

会話

210

260

4.33

1.3

インタビュー

190

250

4.17

1.3

NNSに対する講義

140

190

3.14

1.4

平均

175

238

4.0

1.4

 

 

発話速度を測る際、一般的にwords per minute(wpm)という尺度が用いられるが、単語の長さはまちまちであるため、この尺度に疑問を投げかける人もいる。実際に表の「音節/語」のところを見ても1.3~1.6とテクストの種類によって開きがある。正確さを必要とするときには音節を測定の単位とすべきだが(Sticht, 1971; Tauroza & Allison, 1990)、音節を数えるのは複雑で労力も要するためwpmが広く使われている。平均的な発話速度は170wpmまたは4sps(syllables per second; 音節/秒)程度であるが、既に述べたようにテクストの種類によって差がある。会話やインタビューなどインタラクティブなものはやや速く、モノローグや非母語話者に対する講義は遅い傾向がある。これらはあくまで平均的な速度であり、話し手によってもかなり異なるということを覚えておかねばならない。

 


3.3.2. 英語の発話速度と理解力の関係について 

 英語の発話速度と理解力の関係について、Stanley(1978)は、外国語学習者のリスニングにとって最も困難なのは速い発話であると指摘している。母語話者を対象にした研究(i.e. Foulke, 1968; Foulke and Sticht, 1969; Sticht, 1971; Carver, 1973)によると250 wpm 程度までの速度ならば高い理解力を維持できるようだが、外国語学習者を対象にした研究(i.e. Griffiths; 1992)では127 wpm に比べると、188 wpm、 250wpm の時点ですでに理解力は低くなることが分かっている。これについて大木・前田・岡 (2016)は次のように述べている。

発話速度と理解の関係を調査した研究は、母語話者を対象としたものと、L2学習者を対象としたものがある。母語話者を対象にした研究(i.e. Foulke, 1968; Foulke and Sticht, 1969; Sticht, 1971; Carver, 1973)では、ある閾値(およそ250~275wpm)までは緩やかに理解度は減少するが、それ以降は急激に下がるという結論が得られている。また、Anderson Hsieh and Koehler(1988)の研究では、発話速度の影響は訛りのあるときにさらに大きくなることが示唆された。
一方でL2に関する研究は多くない。Stanley(1978)は、L2の聞き手にとって最も困難なのは速い発話であると指摘し、実際にGriffiths(1992)の研究では、L2の聞き手に3つの異なる速度(127, 188, 250wpm)の英文を聞かせた結果、速度が速いほど理解度は低くなることが明らかとなった。以上の発話速度と理解度に関する研究結果をまとめると、発話速度は理解度に影響する重要な変数で、理解度はある速度を境に急激に下がることがわかった。またこの影響の度合いには、聞き手の言語能力や訛りに加え、テクスト変数(語彙、文法、トピック)も相互作用すると推測される

 


3.3.3. TOEICリスニングテストの発話速度について 
4. 分析結果 
4.1. TOEIC L&R スコアによる能力別の英語能力に対する分析について 
4.2. 英語自己評価と英語母語話者に対する英会話評価への分析と考察 ~TOEIC L&R スコアよる能力別評価~ 
4.2.1. 英語自己評価 
4.2.2. 英語母語話者に対する英会話評価 
4.3.1. 英語リスニングに対する苦手意識についてのアンケート分析結果 
4.3.2. L2リスニングに対する苦手意識と自信への分析と考察 ~TOEIC L&R スコアの4つの壁~ 
4.3.3. 日本語訛りのある英語に対する日本人英語学習者の苦手意識と自信の分析と考察 ~TOEIC L&R スコアによる5つの群分け~ 
4.4.1. L2リスニングの英語アクセントの聞き取り能力に対する分析と考察 ~TOEIC L&R スコアによる5つの群分け~ 
4.4.2. L2リスニングの英語アクセントの聞き取り能力と英語母語話者に対する英会話評価 
5. まとめ 

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