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米英アクセントの聞き分け能力は英会話に重要か? 112名の大学生に対するアンケート調査

TOEICなどを受験したことがある方ははもちろんご存知でしょうが、イギリス英語やオーストラリア英語などの方言や訛りは時に理解を妨げることがあります。また、テスト以外でも実際に外国人と会話する際に方言やアクセントの違いがコミュニケーションの妨げになることは少なくありません。 参考→ 卒業論文をすべてWEBページにまとめてみた 1

そこで英会話レベルと米英アクセントの聞き分け能力の相関関係を調査するために、関西大学生及びその他の大学の1~4回生112名に対してアンケート調査を行いました。

 

まず、用意した質問は以下の通りです

 

用意した3つの質問と選択肢

質問

10.ネイティブ(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア人のみ)との英会話レベルはどのくらいですか?(必須)

選択肢

A. 外国人と英語で、ほとんど話したことがない

B. 外国人を目の前にすると緊張してすぐに会話が途切れる

C. 外国人と英語を用いて短い会話、意思疎通ができる

D1. 非ネイティブの外国人(東南アジアなど)と英語で日常会話ができる

D2. 非ネイティブ及びネイティブと英語で日常会話ができる

E. ネイティブの友人にナチュラルスピードの速い会話で話しかけられても、ほとんど困らない

F. ネイティブとの自然な会話はもちろん、BBC や CNN のニュースを聞いて情報収集ができ、内容の議論もできる

 

質問

23A.あなたは、アメリカ人とイギリス人がそれぞれ米アクセントと英アクセントで話している動画や音声を聞いて、米英の聞き分けができると思いますか?(TOEICを判断基準にしてもよい)

選択肢

A. 聞けば必ずすぐに分かる     

B. 30~40秒も聞けば必ず分かる   

C. 1分ぐらい聞けば多分分かる  

D. たくさん聞けば多分できる  E. どんなに聞いても多分無理

F. 分からない

 

質問

23B.アメリカ人とイギリス人(男女混合)、各10人が自然に話している動画を観て出身を当てるとします。 1~2分以上ずつ観て、「アメリカ人」、「イギリス人」、「分からない」の3択で答えたとして、出身地を当てられると思いますか?(いずれも自然な英語だが、途中でどこかに訛りあり)

選択肢

A. 自然な会話からでもほぼ当てれるし、イギリス出身者のアメリカ訛りとかも見抜ける 90%程度

B. 自然な会話からでも結構当てれる  70~80%程度

C. 自然な会話からなら半分くらい 50~60%程度

D. 分かりやすい人の会話なら分かる 30~40%程度

E. 自然に話してる人のアクセントの判別なんてできない

F. 分からない

 

結果発表

分析結果から判明した3つの結論を先に述べます。このページの下の方では、集計したグラフを用いてこの結果について解説しています。

 

1.「ネイティブスピーカーに対する英会話能力が高い人ほど、米英アクセントの聞き分け能力が高く、米英母語話者の出身当てへの自信度も高い傾向がある」
(*ただし、英会話能力が高い人の中にはアクセントについてあまり気にしない人も少なくなく、出身当てについては自信がないという学生は英会話能力が高くても一定数いる)


2.「米英アクセントの聞き分け能力が高い人ほど、ネイティブスピーカーに対する英会話能力も高い傾向がある」
(*アクセントについてあまり気にしなくても英会話能力が高い人もおり、聞き分けができるだけで英会話能力が低い学生もいる)


 3.「米英母語話者の出身当てへの自信度が高いほど、ネイティブスピーカーに対する英会話能力は明らかに高い傾向がある」
(*ただし、出身当てに完璧に自信がある学生は全体の8%しかいなかったためA群は無視できるものとする)

 

以上から英会話に苦手意識を持っている人は、もっとネイティブスピーカーの様々な生の英語の声を聴く努力をする必要があるといえるでしょう。

 

それでは集計したグラフを用いて、以上の結論について解説していきます。

 下の青字をクリックすると見たい解説に飛べます。

 

1.「ネイティブスピーカーに対する英会話自己評価が高い人ほど、米英アクセントの聞き分け能力が高く、米英母語話者の出身当てへの自信度も高い傾向がある」

(*ただし、英会話能力が高い人の中にはアクセントについてあまり気にしない人も少なくなく、出身当てについては自信がないという学生は英会話能力が高くても一定数いる)

 英語母語話者に対する英会話自己評価によって5つの群分けをしました。そのそれぞれの米英アクセントの聞き分けへの自信度と米英母語話者の出身当てへの自信度を集計したものが下の2つの図になります。

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英会話自己評価が高い人ほど、米英アクセントの聞き分け能力に対する自信度が高く、米英母語話者の出身当てに対する自信度も高い傾向があることが分かります。(*ただし、英会話能力が高い人の中にはあまり気にしない人も少なくなく、出身当てについては自信がないという学生は英会話能力が高くても一定数いる)

 

2.「米英アクセントの聞き分け能力が高い人ほど、ネイティブスピーカーに対する英会話能力も高い傾向がある」

(*アクセントについてあまり気にしなくても英会話能力が高い人もおり、聞き分けができるだけで英会話能力が低い学生もいる)

    米英アクセント聞き分けに対する自信度を用いて5つの群分けをしました。そのそれぞれの米英アクセントの聞き分けへの自信度と米英母語話者の出身当てへの自信度を集計したものが下の2つの図になります。

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 C群が外れ値となっているため分かりにくくなっていまが、仮にC群とD群と統合してグラフを作成すると次のように、「米英アクセントの聞き分け能力に対する自信度が高い人ほど、ネイティブスピーカーに対する英会話自己評価が高い傾向がある」ことが明らかになります。この処理はあまり褒められた分析ではありませんが、米英アクセントの聞き分けができるレベルのリスニング能力がつけば、日常英会話ができる程度にはなれるようです。英会話に苦手意識を持っている人は、もっと母語話者の様々な生の声を聴く努力をする必要があるといえるでしょう。

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3.「米英母語話者の出身当てへの自信度が高いほど、ネイティブスピーカーに対する英会話能力は明らかに高い傾向がある」

(*ただし、出身当てに完璧に自信がある学生は全体の8%しかいなかったためA群は無視できるものとする)

  米英出身当てに対する自信度を用いて5つの群分けをしました。そのそれぞれの米英アクセントの聞き分けへの自信度と米英母語話者の出身当てへの自信度を集計したものが下の2つの図になります。

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以上のグラフから、米英母語話者の出身当てができない人の、ネイティブスピーカーに対する英会話自己評価は高いことが分かります。

(*ただし、出身当てに完璧に自信がある学生は全体の8%しかいなかったため無視できるものとする)

 

 

 もう一度解説

ここからはもう一度解説していきます。

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 上の分析結果の図が示す通り、米英アクセントの聞き分け能力はネイティブスピーカーと英語で会話するための重要な必要条件の一つと言えることが分かりました。

 米英アクセントの聞き分けが「できないorわからない」と答えた学生の97%、「たくさん聞けば多分できる」と答えた学生の81%が、英語母語話者と英語で会話をしたことがないか、意思疎通ができるレベル以下であることがわかります。

 大学生であれば基本的な英単語や文法は学習済みのはずなので、米英アクセントの聞き分けができるレベルのリスニング能力がつけば、最低でも意思疎通ができる程度にはなれるようです。英会話に苦手意識を持っている人は、もっと母語話者の様々な生の声を聴く努力をする必要があるといえるでしょう。

 英語の音を聞けばすぐに聞き分けができるレベルになれば、母語話者のネイティブスピードについていけるようになれる可能性が高まることが分かります。

 ただし、米英アクセントの聞き分けがすぐにできるだけで英会話能力がそこまで高くはない人がいることも確かなようです。「A群. 聞けば必ずすぐに分かる」を選んだ学生の35%が「C. 外国人と英語を用いて短い会話、意思疎通ができる」と答えています。十分かもしれませんが、少しもの足らないかもしれません。

 また、「C群. 1分ぐらい聞けば多分分かる」を見ると、一部の高い英会話能力を持っている学生はあまりアクセントを重要視していないことが分かります。実は、他の分析結果からも米英アクセントの聞き分け能力の自己評価が低くてもTOEICで高得点が取れていることが分かっています。こういった学習者は声の質よりも内容の方に意識が向いているのだと個人的に推測しています。

 このことから英語学習者がシャドーイングなどの音の聞き取りだけにこだわりすぎると、内容に意識が向かずにテストなどでの成績が伸び悩んだり、実際の外国人交流に充てる時間が減ってしまったりという可能性があるでしょう。

 次の図が示すように、ネイティブスピーカーに対する英会話自己評価が高い人ほど、米英アクセントの聞き分け能力に対する自信度が高い傾向があることから、米英アクセントの聞き分けができるだけのリスニング能力は重要であるといえます。ただし、英会話能力が高い人の中にはアクセントについてあまり気にしない人も少なくはないことから、アクセントだけにこだわりすぎないことが大切なのかもしれません。

 

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とりあえず集計結果の解説は以上とさせていただきます。。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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